選手から見た『東京オリンピック』を考えてみる

前回、「まだまだ検討の余地あるぞ!『東京オリンピック』」と題して、今現在の私の考えをいくつか述べました。

本記事はその続きになります。

私自身、大学時代までは一人のアスリートでした。

競技生活から離れてもう5年以上が経っているので、多少見方が変わってきているかもしれませんが、「もし自分が現役選手だったら、オリンピック開催をどう思うか」を述べていきます。

前提として

どこかで触れたかもしれませんが、私は中学まで野球、高校・大学では陸上(長距離)をやっていました。

長距離選手としての期間が長かったせいか、最終的には『大舞台でのレース(≒試合/ゲーム)』というよりもむしろ『自分自身との闘いで勝つ』コトに重きを置いていました。

なので大会の規模に関してはそれほど意識していませんでしたが、団体競技となる駅伝だけは「全国の舞台で走りたい」という強い思いがありました。

箱根駅伝に出場できるのは関東の大学だけって知ったのは大学入ってからでしたけどね。

選手にとって『オリンピックの価値』とは

うまくまとめられそうになかったので、箇条書きで。

  • 特定競技だけではなく、全競技の選手が一丸となって戦うコト
  • 世界がお祭り気分の中、つまり最高に盛り上がる舞台でプレーできるコト
  • 世界最高水準の相手と戦えるコト

それぞれについて、私なりの考えを述べていきます。

全競技の選手が一丸となって戦う

競技の中では個人戦という位置づけだったとしても、オリンピック全体で考えると、それも団体戦の一部になるんですよね。

陸上を例にすると、世界陸上なら「短距離が頑張っているから、長距離も頑張らないと」ですが、オリンピックとなると「野球もサッカーも頑張っているから、陸上も頑張らないと」まで大きくなるわけです。

これはもちろんプレッシャーになる場合もありますが、背中を押してくれる存在にもなるんです。

さて、今回の東京オリンピックですが、国によっては各競技の選手の間で足並みが揃っていないように思われます。

例えば誰かが「出ない」と言えば、他の選手にとってみれば仲間が減るわけで、それが個人ならまだしも競技単位となってしまうと、「出る」つもりの選手にとって心細い事この上ないですよね。

最高に盛り上がる舞台でプレー

今回の東京オリンピックは観客制限のみならず、無観客の可能性も出てきました。

正直、ガラガラの会場でプレーしても面白くないと思います。

これまでに一度だけ、トラック競技を一人だけで走ったことがあります。

駅伝の一人旅とは違って、かなりメンタルに来ました。

歓声が無いことでプレーに精彩を欠くようなことがあれば、「求めていた舞台と違う」と思ってしまうのでしょう。

世界最高水準の相手と戦える

一番最初の項と被りますが、人によっては「出たくない」と思う人、様々な事情があって出たくても「出られない」人が出てくるでしょう。

この世界的に大変な中で東京まで来られた人だけでプレーするというのは、やはり「求めていた舞台と違う」と思ってしまうのではないでしょうか。

コロナ禍における制限事項

私自身は一番最初に述べた通り『自分自身との闘い』に重きを置いているので、観客がいないだけならまだ許せます。

しかし、新型コロナウイルスの影響でオリンピック代表選手団は大きな制約を受けることになります。

毎日の体調管理はアスリートにとってみればそれほど苦でもありませんが、例えば外国人選手団の場合は空港で足止めさせられる可能性だってあるわけで、その数日間でどれほどプレーに影響が出るかははかり知れません。

私自身、野球をやっていた頃には(若さもあってか)何も感じませんでしたが、陸上で2日以上休養を挟んだ時には違和感ありまくりでした。

そんな中で本当に最高のパフォーマンスを発揮できるのか、怪しい…というより無理じゃないでしょうか。

もちろん、それも含めて出来るのが一流なのかもしれませんけど。

選手村のリスク

選手村、つまりバブルの中で感染が拡大した時に、昨年のダイヤモンド・プリンセスの様な悲惨な状況を生んでしまわないか、非常に懸念しています。

仮に選手村の中で自分が感染してしまった場合、そこからさらに拡大していれば「私のせいで○○もオリンピックに出られなくなった」となってしまうのも非常に後味が悪い。

世論と逆行する事

仮に開催するとなれば、オリンピックを目標にしていた選手は出る事でしょう。

そして、開催に反対していた人たちも(政府の思惑通り)熱狂するかもしれません。

しかし、開催に反対する人が一定数以上いる中で「オリンピックに向けて頑張ります!」というのは、日本人にとって非常に居心地が悪い。

後ろ髪を引かれるような思いで、ベストコンディションを維持できるかどうか…。

続く…?

記事を書いているうちに4度目の緊急事態宣言、首都圏の無観客開催の方針が決まってしまいました。

「本当にやるのか」という思いは日に日に強くなっていきますが…、やるんでしょうね。

まだまだ言いたいことはあるので、それは次回以降にでも。

以上です。